20代の頃、1年以上に渡ってアメリカを旅行していたことがあります。その途中で出会った女性と恋に落ちた話です。
私はとある街に魅了され、そこにアパートを借りて3ヶ月間限定で住んでみることにしました。そして現地の人達と繋がりを持ちたくて、街のコミュニティに参加してみたのです。
その活動の中で出会ったのが彼女でした。彼女は現地人でなく、現地の学校に留学していた日本人女性です。
私達は年齢が近く趣味嗜好も似ていたので、すぐに打ち解けて仲良くなりました。私の方は旅行中はほとんど日本人と接してこなかったため、久しぶりに日本語を話せた安心感もあったと思います。初めての出会いから2日後には、2人切りで会うことになりました。
わずか2回目でしたが、私達は相思相愛であることに気付き、それからは毎日のように一緒の時を過ごすようになりました。
ただ、私から彼女に告白することはなく、彼女の方も私に告白しませんでした。お互い3か月後に別れが訪れることを知っていたからです。それが分かっていただけに、私達は1日1日、2人の時間を大切にしました。
でも、ついに別れの日がやって来ます。
彼女は日本に帰国し、私は再び旅を始めました。あの時の彼女の涙は忘れられません。
「また日本で会おうね」と約束して別れたのですが、それ以来、会えていません。もう10年以上過ぎた今でも、彼女は幸せに過ごしているのだろうかと思い出すことがあります。私の中であれほど深く愛し合った恋愛は他にありません。